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伊豆のイワボタン

今回はちょっと専門の話。

私は大学院時代にネコノメソウ属、
とくにイワボタン類(Chrysosplenium macrostemon Maxim.)の分類と系統を調べていた。
材料を決めた段階では高をくくっていたのだが、
研究をはじめてみて愕然とした。
なんだろう、この多様性。

ひどいところ、たとえば紀伊半島などでは、沢ごとに形態の違う集団がある。
しかも、ガクの開き具合や葯の色、花粉の色、苞の形や色、葉の形、匍匐枝の伸ばし具合など、
さまざまな形質が複雑に変化するのだ。
さらに、たとえばそれをマスサンプリングして形質を数値化し、
多変量解析などでグループ分けできるか、というと、
おそらくそれは難しいと思う。
見た目では明らかに違うとわかる集団があるのに、
客観的なデータとして示すことができそうもない。
それで研究は行き詰った。

【伊豆のイワボタン Chrysosplenium macrostemon Maxim.】
イワボタン

たとえばこいつなどは、私が見ると「確かに伊豆っぽいな」と感じる。
しかしその感じをデータで出そうとしても・・・
もし差が出たとしても・・・分類に反映できるのだろうか。
うーん。

既存の分類群としては、現在イワボタンも含めて5変種が認められている。
しかし、それははっきりいってナンセンスな分け方で、
あまたあるイワボタンの変異のうちの、ごく一部を取り上げているにすぎない。
そのことは恩師である若林先生も、Flora of Japanの中で書いていらっしゃる。
しかも、変種ニッコウネコノメソウは、現在日本にある図鑑類、植物誌、すべてあわせても
正確に記載しているものはないと思う。
そのことは、Type Localityである塩原へ行って、実物を見ればわかる。

逆に、はっきりとわかったこともある。
四国には、これまで見た限り4タイプしか存在しないようなのだ。
だから、こうして地域をごく狭く限ってみると、タイプ分けができなくはない。
ただし、この4タイプが本州や九州のどれと近縁か、といったことはまったく不明。
そこが難しいところだ。

地道な作業となるが、今後は地域を限定してある程度のグループ分けをし、
徐々にそれを全国へ広げていく、という方法しかないのだろうなあ、と思っている。
数年では終わらない作業だ。

なお、分子(DNA)を使って系統解析もおこなったが、
はっきりとした種内の系統関係は見出せなかった。
DNAが常に万能であるとは限らない。

参考文献:
岩槻邦男、D.E.Boufford、大場秀章(編)(2001)『Flora of Japan』 Vol. IIb 講談社
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